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晩秋のきのこな一日

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晩秋のお楽しみといえば、身近なところではクリタケ。岐阜県や長野県まで足を延ばせばナメコ。まさか、愛知県内でその両方が楽しめるなんて。。

今日は賑やかなメンバーと、あまり遠出せず、お昼は採ってきたきのこで鍋を食べようという楽しい企画。
しかし、今年はどうもきのこの出方が遅れているうちに季節が先を越して肌寒くなってしまい、どの山に行ってもきのこの姿が少ない。今日も出足はぱっとしなかったが、このクリタケの株が見つかった後、思いもかけずナメコの群生に出くわした。

愛知県内でもナメコは出るのだが、岐阜や長野のように立ち枯れや倒木にびっしり付いた状態には遭遇したことが無かった。期待もしていなかったところに突如、上の方までびっしり幼菌が付いた立ち枯れが見つかり、慌てて車まで戻ってナメコ採り用の長い竿を持ってきてもらった。竿の先端に付けた「鎌」でナメコをこそぎ採り、それを開いた雨傘で受け止めるという楽しい協同作業を行った。これを一度でも経験すれば、誰でも病みつきになる。

当然、きのこ鍋はたっぷりのきのこで美味しく仕上がった。天気も良く、仲間たちと過ごす晩秋のきのこな一日は最高。
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初冬のきのこ

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今年は健康面では散々な年で、様々な病状で医者通いをした結果、めでたく医療費控除の対象にもなれそうな勢い。珍しく厄年(60歳)のお祓いをしてもらったおかげかどうかは分からないが、致命的な病気には罹らなかったのがせめてもの救いである。今日も本当は、もう一度ナメコ採りに北上したかったのだが、足にあまり負荷のかからない近場に出かけることにした。
深山のきのこ採りはどうしても足場の悪い斜面を何度も登ったり降りたりするため、足指の爪が靴の中で窮屈になり、左足では5本中4本の爪が紫色になってしまった。いずれその爪は剥がれて生え代わることになる。

どうも加齢のせいか、偏平足が進行して、いわゆる「浮き指」(足指が地面にしっかり付かない)になり、どの靴も指先が当たって痛い。小指には魚の目もできている。腰も膝も足首も痛むので、体幹を鍛えたり、意識して歩き方を変えてみたり、靴に中敷きを入れたりして、何とか冬場のうちに状況を改善させようと努力しているところ。

そんな状態にもかかわらず、今日は東濃方面に出動して、初冬のきのこを楽しんできた。まとまった雨が降っていなかったので、きのこの姿そのものは少なかったが、アブラシメジモドキ(写真上)、出始めのフユヤマタケ(2枚目)、シモコシ(3枚目)、遅出のアミタケなどが採れた。

こうした顔ぶれが生える若い松林が我が家の近所には少ないので、どうしても東濃方面まで足を伸ばすことになるが、東海環状自動車道のおかげでストレスなく半日で行って来られるのが実にありがたい。松が大きく育つまで、もうしばらくは楽しめそうだ。
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年の瀬のフユヤマタケ

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昨年から、フユヤマタケ採りに連れて行ってもらえるようになり、冬の楽しみが増えた。世の中はクリスマスからお正月モードへと盛り上がる中、大きくても数センチそこそこのフユヤマタケをチマチマ採る、というのは好事家のみに許された行為である。
まだ若い松の生い茂る斜面に、ポツポツと発生しているフユヤマタケをハサミで切り取り、籠に入れるという作業をひたすら繰り返す。小さいので、群生という言葉は当てはまらないが、1メートルくらいの半径に数本から10本くらいまでのコロニーが背の低い松林の中に点在しているので、腰をかがめて移動しなければならない。若い松は枝が低い位置から横に張り出しているので、額に何度も枝がぶつかり、松葉がシャワーのように降ってくる。
きれいに採ったつもりでも、結局、籠の中に松葉などが大量に混入してしまい、洗う手間は変わらなかった。いつもは、そのまま鍋に投入して火を通すのだが、今回はきのこひとつひとつの色や大きさの変化を楽しんでみようと、皿に盛りつけてみた。改めて見てみると、色や粘性の違うタイプが混ざり合っているのが分かる。赤みの強い個体は粘性も低く、別種ではないかと思う。
ひとしきり眺めた後は、使いまわしがきくように水煮を作った。煮込むと一層粘性が出てきて、全体がトロトロになる。濃い茶色の出汁も出て実に美味しそう。今日の夕飯はフユヤマタケを使った卵丼だったが、冷凍しておけばお雑煮にも合うらしい。早く来い来い、お正月。
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アミガサタケ・ランチパーティ

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日本ではきのこと言えば秋、マツタケということになるが、欧米では春に出るアミガサタケ(モレル、モリーユ)もトップクラスの人気を誇る。


長い冬が過ぎ、待ち焦がれていた春の到来とともに顔を出し始めるアミガサタケは、初心者でも簡単に見分けられる美味しいきのことして古くから愛されてきた。
特に北米では熱狂的なファンが多く、各地でMorel Festivalが開催される。ブースにはお手製の料理やアミガサタケのTシャツや置き物が並び、パーティではアミガサタケに扮したりして皆んなで盛り上がる。


そんなことは、海の向こうの話だと思っていたら、なんと、日本でも開催され、幸運にも参加させていただくことができた。
今日は、滋賀県は能登川のフレンチ「ABARIS」で、アミガサタケを心から愛するiさんがシェフの前川欣也さんに特別にお願いして、全14品のアミガサタケ料理が振る舞われた。


モリーユの西洋茶碗蒸し、温泉卵とモリーユのピュレ、サーモンとモリーユのムース、モリーユと鴨のゼリー寄せ、モリーユのアンクルート、モリーユとクリームチーズのクランチ仕立て&みかん蜂蜜、モリーユパテドカンパーニュ、モリーユとホタルイカのサラダ、モリーユのパン、モリーユの洋風天ぷら、近江鶏とモリーユのフリカッセ、モリーユとイラ(ベラの仲間)のパピヨット、砂肝とモリーユのコンフィ、モリーユの生チョコレートとアイスクリーム、の全14品!この日のために採り集めてくれたアミガサタケは500本!


iさんは、このパーティの企画からアミガサタケの採取、被り物の製作まで全力で準備され、僕らは単にドレスコードとして何かアミガサタケのものを身につけていけば良いだけだった。その情熱にはただただ驚き、感謝するばかりである。
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ハルシメジを手土産に

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春は桜の開花が全国民の関心事になるなど、とりわけ季節の変化に敏感だ。今年は桜の見頃が1週間以上遅れ、きのこの発生にも影響が出ている。例年だと、アミガサタケの次にハルシメジという順番なのだが、アミガサタケの発生が遅れているうちにハルシメジの発生が追い付いてしまった。一緒に採れて好都合ではあるが、どちらも発生量が今ひとつ。
日曜日は、お招きを受けたホームパーティーに採れたてのきのこを手土産にしようと、早起きしていくつかのポイントを駆け足で見てまわった。本当はカンゾウタケを狙って行ったのだが、採るには忍びないほどの幼菌しかなく、結局、ハルシメジを少々とアミガサタケ数本しか収穫がなかった。
それでも、春のきのこに馴染みのない方々には好評で、手早く作ったソテーはあっという間に無くなってしまった。上の写真は採らずにそのままにしてきたカンゾウタケ、2枚目は傘の真ん中がぷっくり膨らんだ典型的なハルシメジ、3枚目は遅れて出てきた小さなアミガサタケ。
気紛れなきのこたちの発生をあてにするよりは、山菜の方が確実性が高いことは承知しつつも、これまでは新芽を摘むのが憚られて目の前にあっても手を出さなかった。今後はほんの少し香りを楽しむ程度の量を頂いて来ようかと思う。
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春のホンシメジ・オフ2017

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恒例の「春のホンシメジ・オフ」は、2年連続で残骸のような老菌が少量見つかるだけだったので、今年は1週間早めて5月20日・21日に行なった。桜の開花が遅れるなど、季節の進み方が遅れ気味で、現地に行くまで不安だったが、久しぶりに美しい銀色の傘を開いた成菌の姿を拝ませてもらった。
タイミングとしては良かったが、気になるのは発生量と発生場所。小さな株が2株と少々しか採れなかっただけでなく、発生場所が尾根から20メートル以上下っていた。十数年前に偶然、尾根筋で見つかって以来、発生範囲を広げながら徐々に菌輪の先端が下がり、小川が流れる谷底まであと少しのところまで来てしまった。これまでも、新たな発生場所を探そうと、周辺を探しまわっているが、結局この場所以外には見つけられていない。
そんな心配はあっても、料理前に刻んだ断面は、まるで栽培品のエリンギのように白く引き締まっていて、薪で炊いたホンシメジご飯は格別の歯ごたえと風味であった。大平宿の古民家でのオフ会もこれで3年目となり、仲間たちと特別な空間と時間を共有できること自体がかけがえのないものになった。贅沢は言わないので、山の神様にもうしばらくは楽しませてもらえるよう祈りたい気分である。
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博物ふぇすてぃばる!4

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今年は各地で集中豪雨の被害が出る一方、愛知県それも三河方面では、梅雨入り後もまとまった雨がほとんど降らず、地面はカラカラ、きのこの発生量は非常に少ない。例年なら、成長も痛みも早いヤマドリタケモドキなど、初夏のきのこの採り頃を逃さないように、毎週やきもきしているはずなのだが、今年は全くモチベーションが上がらない。
こういう時は、街なかできのこを楽しむに限る。九段下の科学技術館で開催されている「博物ふぇすてぃばる!4」(7月22日・23日)は、そんな欲求不満に直球で応えてくれるイベントだ。
きのこに限らず、昆虫、動物、鉱物、化石、土器、深海生物などなど、個人的興味を独自の表現方法でカタチにしてくれる作家さんたちが大集合。科学技術館1階に全231ブースがひしめき、僕が行った朝10時半でも既に大混雑だった。こういうことに心惹かれる人達がこんなにいる、というだけでも驚きである。どの店も、ピンポイントの好奇心をそのままの形で実体化した作品がずらりと並ぶ。
今回は、きのこ作品がこれまでで一番多いとか。きのこ以外のブースにも、もちろん足を止めて眺めたりしたが、作家さんにも声をかけて楽しめたのはやっぱりきのこ。中でも、「役に立たないきのこの小部屋」のきのこの編みぐるみときのこ写真や、「kinoko-mono」さんの彫金作品の数々は、作品の作りこみレベルが高いうえにお話もできたこともあって、とても印象に残った。きのこの胞子の顕微鏡写真を知っている人にしか分からない作品なんて、マニアックすぎる。。
買い物はほどほどにしておこうと心に決めていたにもかかわらず、小品を数点買ってしまったので、その償いにと、奥方にもきのこ以外でお土産を購入した。散財に輪をかけたような気もするが、これで危ういバランスが保てればと願うばかりである。
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たかおか×飛騨 CRAFT SAKE 2DAYS

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きのこだけ、ではなく、他にも楽しめる領域を広げたいと思って、偶然見つけた「たかおか×飛騨 CRAFT SAKE 2DAYS」に一人で参加してきた。
前職(中部圏社会経済研究所)の頃に見かけたfabcafeという文字が、長らくどこかに沈殿していたのであろう。富山高岡・錫・鋳造、飛騨古川・広葉樹・木工、そしてfabcafeという組合わせを見つけて直ぐにカレンダーを確認し、本来は高岡と飛騨それぞれで泊まる企画だったのだが、土日の高岡1泊だけでも良いのかメールした。
FabCafeとは、居心地のよいCafe空間で、レーザーカッターや3Dプリンターなどを使ってアイデアを形にできるFabrication(ものづくり)の拠点。2012年3月に渋谷でスタートし、日本(東京、京都、飛騨)のほか世界各都市7店舗で展開されている。そのひとつである「FabCafe Hida」は、2015年に飛騨市と「ロフトワーク」「トビムシ」の共同出資で設立された「飛騨の森でクマは踊る」(通称ヒダクマ)が運営に当たっており、宿泊施設も併設している。
もう一方の高岡「はんぶんこ」は、やはりデジタル機器を備え、伝統産業である鋳造技術を手軽に体験できる図工室、ギャラリー・ショップ、図書室(文庫)からなる複合施設。高岡での宿泊は古民家を改装したゲストハウス「ほんまちの家」。
ワークショップ単体ならどこにでもあるが、2つの魅力的な町をつないで、鋳造と木工という異素材を組み合わせたところが素晴らしい。富山と岐阜という県境を易々と越えられた理由も主催者に聞いてみた。
自分としては、飛騨は神通川の上流域で富山はその下流域にあたり、昔から文化的にも経済的にも交流があり、それが東海北陸自動車道で結ばれたから、などとそれらしい理屈で納得しようとしていたのだが、実際には、オープンな空間でのものづくりという点で自然に一致したということに尽きるとのことで、そもそも県境などはじめから意識していなかったようだ。行政も民間も、我が町の伝統工芸という枠で囲い込みをしてしまいがちになるのだが、来訪者・利用者にとっては大きな意味を持たないということだろう。
それにしても残念だったのは、自分でつくった錫のぐい呑みときのこデザインの箸置き、栃の木を削って仕上げた箸と鉄奬で染めたトレーを使って、みんなで一緒に飛騨古川で夕食をとれなかったこと。食後にゲストハウスで泊まるところまで含めてひとつの企画だったのだから。何かをつくるために旅行し、暮らすようにひとつのものをつくりあげる、という時間の過ごし方は、もっと広がっていっても良いと思う。
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アカジコウ似の大型イグチ

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イグチの仲間で一番好きなのはアカジコウ。ヤマドリタケモドキやムラサキヤマドリも姿・形、美味しさはなかなかのものだが、アカジコウのボリューム感・食感、美味しさはやはり群を抜いていると思う。
ただ、毎年採れていた場所に入れなくなってしまってから、アカジコウ渇望症が続いている。こうなると、アカジコウに姿・形が似ているだけでテンションが上がる。愛知県内でもよく見られる通称フリルイグチも、アカジコウへのオマージュを込めて仲間内だけではニセアカジコウと呼んでいたこともあった。ニセアシベニイグチやニシキイグチも個体によってはそれらしく見えてしまう。
9月2日に日和田高原で見た写真のイグチも、2年前に初めて見たときは、少し傘の色などに相違点はあるが、てっきりアカジコウだと思い込んでしまった。今回も、同じ場所に立派な姿で出ていてくれた。冷静に観察すると、はやりアカジコウとは細かな点で違っているのだが、アカジコウ渇望症の身にとってみれば、柄の長さが30センチはあろうかという大きさと立ち姿を見られれば、とりあえず満足、ということである。
日和田高原には、愛知県の里山はもちろん、長野県南部でも見られないきのこが多くみられる。今年は縁あって日和田高原の一角に活動拠点を構えられることになった。開発後40年経って、クマザサが生い茂る鬱蒼とした森になっている場所を、歩きやすく明るく林に整備しなおそうという、やや無謀な試みではあるが、賛同してくれる仲間と少しづつ、楽しみながら進められたらと思っている。
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マイタケを探して

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9月中下旬は、マイタケを探しにブナ・ミズナラ林まで足を伸ばす。シルバーウィークの3連休に上陸して、日本中に被害と大迷惑をもたらした台風18号が去ったあと、愛知県内では貴重なブナ・ミズナラ林のある段戸山に向かった。
林道に落ち葉や枝が散乱し、立ち枯れの大木が風で倒れていたりして、台風の傷跡が生々しかったが、それよりもショックだったのは、10年くらい前から始まったカシノナガキクイムシによるナラ枯れ大発生でもなんとか持ちこたえていたミズナラの大木が、ついに何本も伐採されていたことだ。樹勢が衰え、すでに赤や青のテープが巻かれていたので、いずれ伐採されるだろうとは思っていたのだが、切り刻まれた姿を見るのはつらかった。
何十年ぶりかでクマザサが一斉に枯れ、山一面が茶色に染まっていたことも悲しさを倍加した。道路沿いにある最大のミズナラにもついにテープが巻かれ、伐採の順番を待つだけとなっている。この木にも、流れたマイタケを見つけたことがあったのだが。
シルバーウィークの初日には、岐阜県最北端まで行って、ミズナラを1本1本チェックして回った。このあたりのミズナラは、まだカシノナガキクイムシの影響が最小限にとどまっているので、何か所かでマイタケの幼菌が見つかったが、あまりに小さかったので、来週末にも来られる菌友に採取を託すことにした。もう、ここまで来ないとマイタケに出会えないのは悲しいが、これからもずっとこの恵み豊かな森が続いていてほしい。
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3週連続のきのこ採りキャンプ

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9月23日・24日、9月30日・10月1日、10月7日・8日と3週連続で同じキャンプ場にお泊りきのこ採りキャンプに行ってきた。僕のさらに上をいく5週連続という菌友がいるが、それは例外中の例外、3週連続でも十分に常人とは異なる世界に住んでいると思う。
毎年同じ場所に通っていても、降水量と気温の組み合わせによって、きのこの出方は大きく変化するので、常に推理を働かせ、的中した時は秘かに喜び、外した時は混乱と困惑の渦の中に放り込まれる。それが楽しいのだが。。
今シーズンは、夏場の少雨の影響からか、3回ともキャンプ場周辺の山の中はがらんとしていて、きのこの姿そのものが少なかった。今年はここに限らず、中部地方全体の傾向としても似たようなものだったが、なぜか幸運にも、自分としては採るべきものがちゃんと採れてしまった。
9月23日・24日は、コウタケやクロカワは全然採れなかったもののマツタケはまずまず、9月30日・10月1日は、2日目にコウタケの群生と出会えた。10月7日・8日は、コウタケが終わりになる代わりに、例年もう少し後から出始めるはずのホンシメジが何株も採れた。
こうやって書くと、高級きのこだけを狙って目をぎらつかせているように見えるが、本人の心持ちとしては、色々なきのこを楽ませてもらいつつ、その延長線上にたまたまマツタケやコウタケ、ホンシメジも採れるという構図をいつも思い描いているのである。これだけ採れていながら、何を贅沢なことを言っているのか、とお叱りを受けそうだが、言わばプロセスを省いて結果だけ得られてしまったというのが正直な感想。きのこ採りの心持ちは複雑である。
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イカタケを試す

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この季節、きのこを採りに行くということは、僕にとっては山の方に向かって車を走らせるということと同じ。限られた休日をいかに効率よく使って行きたいところ、行くべきところに行くか、秋はそんなことばかり考えていると言って良い。今年も、採るべきものは、そうやって確実に採ってきた。しかし、そういうことを繰り返していると、新しいきのことの出会いが限られてくる。
きのこを始めて間もないころは、図鑑を眺めつつ、いつかこんなきのこを見てみたい、採ってみたいと夢想し、ひとつ、またひとつと見分けられるきのこや食べたことのあるきのこの数を増やしてきたのだが、どうも最近は新たな出会いを求めて時間を割くことが少なくなってきていたような気がしていた。
先日、クリタケやチャナメツムタケといった晩秋のきのこを採りに行った帰り道、菌友からの情報を頼りに、イカタケを見ようと街なかの小さな公園に立ち寄った。イカタケの強烈な姿形は、図鑑の中でもひときわ目立つ存在なので、以前から目に焼き付いていたのだが、これまでチャンスに恵まれなかった。
公園の裏手、オガクズ混じりのふかふかの地面に、イカタケの白い卵が菌輪を描くように連なっていた。午前中ならもう少し新鮮な状態で見られたのかもしれないが、すでに午後2時過ぎ、好天で少々乾燥していたこともあって、イカが逆さになって足を伸ばしたような完全な姿のものは少なかった。ただ、辺りにはツンと来るような魚介系の匂いが漂い、イカタケの狙い通り、銀バエが黒っぽいグレバを舐めに来ていた。
卵をいくつか持ち帰って、そのひとつを半分に切ると、イカの腕に当たる部分は殻の上部内側に折りたたまれ、柄になる部分がグレバを支えるような形になっていた。しばし、その姿を楽しんでから、小さな鍋で塩を加えて煮つめ、味見してみた。食毒不明のものをこうやって試食するのは相当リスクが伴う行為ではある。
スッポンタケは食べたことがあるが、それより小さいので食べやすいうえに、グレバの刺激臭もほとんど無く、本当にイカのゲソを刺身でいただいているような食感。先入観を取り除いて適切に味付けすれば、人にもよるが、「美味しい」という感想を持っても不思議ではないと思った。
味見に回さなかった個体は、霧吹きで水分を与えながら「孵化」を待ってみたが、残念ながらそのまましぼんでしまい、家でイカタケの育つ様子を観察することはできなかったのが心残りである。
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台湾きのこ事情

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この冬、厳しい寒さの続く日本を脱出し、台湾きのこ事情を調査してきた。もっと暖かいのかと思っていたら、台湾にも同じように寒気が来ていて、毎日雨で気温も低め。台湾の人は寒がりなのか、みんな厚着でモコモコ状態だった。2泊3日だったので、効率的に回ろうとタクシーをチャーターして台北北部の観光地である野柳(やりゅう)、十分、九份へ。
野柳地質公園には、海岸から1700mにわたって突き出た岬に海蝕・風蝕の影響を受けた奇岩が立ち並ぶ。小雨で足元が滑るかと思ったら、遊歩道を離れても案外歩きやすく、蕈状岩(キノコ岩)のすぐ近くまで行けるのがうれしい。
奇岩の中で最も有名なのは、パンフレットにも載っている「女王頭(クィーンズヘッド)」で、写真を撮るのも順番待ちだが、きのこ関係者にとっては巨大なアミガサタケやシャグマアミガサタケの群生の中で戯れる方が心躍る。ところどころに露出しているウニの仲間(タコノマクラ)の化石も愛らしい。
台北の夜の定番、士林夜市では、シイタケチップも売られていたが、目についたのは大きなエリンギの串焼き。タレをつけてぐるぐる回しながら手際よく焼いていた。これなら日本の屋台でも人気が出そうだが、日本のスーパーで売られているものより太くて大きいので、サイズをそろえるのが案外大変かもしれない。
台湾には3000m級の山々も多いので、タイミングさえ良ければきのこもたくさん採れるに違いない。そのあたりは全く情報不足であるが、またいつか行ってみたいものである。
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花よりアミガサタケ

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この春は記録的な晴天続き。桜が咲くころは例年天候が変わりやすく、寒かったり雨が降ったり、風が強く吹いたりして、花見を楽しめる期間もタイミングも限られていることが多い。ところが、今年は開花宣言が各地で聞こえるようになってから好天が続き、河津桜、枝垂桜、ソメイヨシノと連続して花見が楽しめた。こんなことは極めて珍しい。
僕も人並みに桜を愛でたりはするのだが、それはアミガサタケの出そうなところを探すついでに、自然に目に入ってくるというレベル。菌友たちも似たり寄ったりの気持ちではないかと思う。
昨日は菌友のお導きにより、長年蓄えた選りすぐりの発生場所に何か所も連れて行ってもらい、アミガサタケをたっぷり採らせていただいた。本当はこういう努力を自力でしなければならないのだが、あると分かっているから目を凝らして探す気にもなるという場所ばかり。次々見つかる嬉しさも加わって、ご厚意に甘えていたくなる。
今年は好天による乾燥で、量はあまり望めないだろうと思っていたが、最終的には相当な本数になった。それをみんなで山分けにしようと何本も手掴みしているうちに、アミガサタケの匂いが手に移った。きのこ好きにしか分からない秘かな喜びの瞬間である。
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10年ぶりの熊野古道でオオセミタケ

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10年前の真夏、連れ合いと熊野古道馬越峠(325m)、その先の天狗倉山(522m)にやっとの思いで登り、そこから見下ろす尾鷲の絶景があまりに素晴らしかったので、今回再挑戦してきた。きのこの方はほとんど期待していなかったのだが、石畳の道の脇にカラムラサキハツが見つかり、松の切株には立派なマツオウジが出ていたりして、気分良く天狗倉山頂上の巨岩を目指した。息を切らしながら最後の急登に差し掛かったところで、目の前の岩の隙間から茶色のマッチ棒のような数センチのきのこが現れた。これは、と思ってきのこの柄の下の方を指で掘り始めたが、柄の先端にはなかなか届かず、枯れ枝の先で掘り進むと、やっとお目当てのものが出てきた。実は、オオセミタケを自力で見つけて掘り出したのはこれが初めて。そもそも、こんな小さなきのこを見つけるために春の山に分け入るなどということはあるはずもなく、今回のような偶然が巡ってこなければ出会えなかったであろう。冬虫夏草としてはこれでも大型の部類なので、逆に言えば、真剣に探さなくても、こうやって偶然にでも目に入ってくる、ということでもある。他の冬虫夏草は、それを見つけるために目を凝らして数メートルを何分もかけて舐めるように見て進む必要があり、次々と場所を移動したくなるせっかちな性格にはとても向かない。きのこ採り目的であれば、常にナイフやハサミなどの小道具を持っているのだが、指と小枝では掘り出すにも限界があり、細かな部分は途切れてしまったものの、なんとか幼虫とつながった姿は壊さずに取り出せた。頂上では、オオセミタケを巨岩に置いて写真を撮り、道の駅海山で調達したサンマ寿司、サンマドッグ、おにぎりで昼食。お腹も心もしっかりと満たされた。


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春のホンシメジ2018

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春のホンシメジオフの宿泊場所が大平宿に移って4年目、やっとずっしりと感じるくらいの収穫に恵まれた。先月から今月にかけて、まとまった量の雨が定期的に降ってくれていたので、秘かに今年はいけるのではないかと期待していた。今年は桜の開花も早く、例年より季節の進み方が早かったこともあって、もう老菌に近いものが多かったが、尾根の反対側は比較的良い状態の株がいくつか見つかった。十数年前、尾根の頂上にあったホンシメの発生ポイントが、少しずつ谷に向かって下りながら発生量も下降線をたどり、谷底まであと少しのところでなんとか踏みとどまっている感じ。
本当はいち早く発生ポイントに駆け下りていきたかったが、仲間たちが尾根に揃うのを待ってから、用意ドンで探し始め、あちこちで発見の声が上がった。春のホンシメジはこのワンチャンスだけなので、多少老菌でもなんでも、見つけた時の喜びは大きい。それにしてもこの土日の空は素晴らしかった。低気圧が過ぎ去った後は空気が澄み渡り、何もかもが眩く立体的に目に飛び込んでくる。年に何日もない絶好な日に仲間たちとホンシメジを採れて、しばらく続いていた重苦しい雲も晴れたような気がする。
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光るきのこを見に八丈島へ

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光るきのこの代表格、ヤコウタケは、有難いことに岩出菌学研究所さんが数年前から栽培キットの販売を始め、目の前で光る様子が観察できるようになった。気軽にヤコウタケの成長を楽めるようにはなったが、やはりいつかはフィールドで見てみたいという思いが高じ、金曜日に休暇を取って八丈島まで行ってきた。
事前に情報収集してはいたものの、自力で見つけられるかどうか分からなかったので、まずは八丈植物公園内の八丈ビジターセンターに展示してあるヤコウタケをチェックした。光るきのこだけでなく、八丈島でしか見られない植物寄生菌である「ヤブニッケイもち病菌」の発生場所の方角をビジターセンターの方にお聞きして歩き始めると、わざわざ追いかけてきてくれて発生場所まで案内してくださったのだが、残念ながら、すでに老菌となって樹上に黒っぽい痕跡を残すのみであった。
ただ、その近くで、朽ちかけたビロウヤシの落ち葉をひっくり返すと、光るきのこの1種であるエナシラッシタケが点々と付着しているのが観察できた。「柄の無い」傘の部分は数ミリしかないが、特徴である網目状の管孔が老眼の目でもはっきり分かった。
初めて来た者でもヤコウタケが見つけられそうな場所としては、和泉親水公園近くにあるホタル水路だろう、とのことだったので、明るいうちに下見に行った。ここでも、散歩中の女性から、ヤコウタケの発生場所は道沿いに植えられているロベ(フェニックス・ロベレニー)の辺りということを教えていただき、ロベ林の1本から、見頃のヤコウタケを見つけることができた。
地元の料理屋さんで夕食をとってから、19時半過ぎにホタル水路を再訪すると、見つけておいたヤコウタケは驚くほど強い光を放ち、すぐ近くの地面から1株、少し離れた場所にもう1株出ていた。真っ暗な水路沿いにはホタルがふわふわと明滅し、幻想的な雰囲気をたっぷり味わえた。
本当は、滞在2日目の今日は三原山のポットホールや滝、温泉を巡るガイドツアーをお願いしてあったのだが、梅雨前線による悪天候で飛行機が欠航して帰れなくなるリスクを考慮して、光るきのこを見ただけで翌朝一番の便で帰ってきてしまった。
八丈島の絶景ポイントを味わい尽くせなかったのは少々心残りではあるが、羽田から40分ほどで、こんな豊かな自然に触れられるというのは新鮮な驚きであった。



傘裏が針状の不明菌

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梅雨明けした途端に猛暑と乾燥が続き、低山ではきのこを探す気にならなかったので、今日は標高約1200m、愛知県と長野県の県境辺りに狙いを定めた。とはいえ、どうせ大したものは無いだろうと、カメラと三脚を家に置いて出かけた。そうやって、なめてかかった時に限ってこういうものに出会ってしまうものだ。
ぱっと見、傘の下が膨らんだ黒っぽいイグチだろうと思って近づいて、驚いた。膨らんで見えたのは、針状のもので、コウタケの傘の裏の針に似ている。傘裏がこんな見事な針になっているきのこの種類は限られているが、そのどれにも当てはまらない。
どこかで見たような気がすると思って、家に帰ってから一通り探してみたが、結局そんなおぼろげな記憶では種の特定に至らなかった。もうしばらく探してみるつもりではあるが、今日のところは宿題にしておく。
もうひとつ、この場所でしか見たことがないシワチャヤマイグチも、幼菌と成菌が揃って出ていた。皺がキュートなきのこだけに、これもカメラと三脚があればと悔やまれた。とりあえず今回は暑さのせいにしておこう。
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ウスムラサキホウキタケ?

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高温と乾燥が続き、どこに行ってもきのこの姿をほとんど見られない日々が続いていたが、ようやくまとまった雨も降り、きのこの便りが聞こえてきた。
8月5日に母が亡くなり、通夜、告別式を終えてからは様々な手続きに思った以上に時間がかかった。悲しむ暇もなかったが、昨日の納骨の際、お坊さんに言われるまま、骨箱からお骨を墓の中へ流し込むと、何とも言えない感情が静かに沸き上がってきた。
ひとつ区切りが付いたこともあって、今日は朝から近場の森にきのこ散策に出かけた。低山はまだ相変わらずきのこが少なかったので、もう少し車を走らせて標高800mくらいのところまで来ると、斜面にきのこの姿がちらほら見えてきた。
山の中はイグチの仲間が花盛り状態で、ムラサキヤマドリタケ、アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキのいわゆる「ヤマドリ3兄弟」でカゴが一杯になった。ベニイグチやベニウスタケなど派手な色のきのこもたくさん出ていて、久しぶりにどの視角の中にも必ずきのこがあるという幸せな状況が味わえた。
写真のウスムラサキホウキタケは、実は自分で採ったのは初めて。列をなして発生しているという話は聞いたことがあるが、今回のものは中くらいの個体と小さな個体が2個。それでも満足である。
家で試食してみたが、加熱するとマツタケのような香りが立ち上ってまず驚き、味もコクがあって、ホウキタケとは全く違うものであった。ウスムラサキホウキタケがここまで美味しいしいという評判は聞いたことがないので、ひょっとしたら近似種なのかもしれない。ホウキタケの仲間には有毒のものも多いので、もう少し食べたかったが試食レベルにとどめておいた。今晩ひと晩、様子を見て、明日の朝にはもう一口食べてみよう。

オオツガタケ

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オオツガタケは、自分にとって最上位の獲物のひとつ。ホンシメジやマツタケ、コウタケは発生環境がよく似ていることもあり、どうしても毎年同じ時期に同じ場所に通いがちになる。オオツガタケは、高原地帯のツガ林に発生するため、ホンシメジやマツタケ、コウタケの場所に行きたくてソワソワする気持ちを抑えて、別の方向を目指さなければならない。そういうこともあって、長らく縁遠いきのこであった。
実は一人だけでオオツガタケを探しに行ったのは今日が初めてで、採れなくても自分が納得できればいいという気楽さが良かったのかもしれない。最初に見つけたのは、アイシメジに覆いかぶさるように生えていた幼菌。そのすぐ横に、出たばかりの幼菌3本。林の奥に向かう遊歩道沿いや、そこから少し入ったあたりでも次々に形の良い幼菌が見つかった。
均整の取れた立ち姿、真っ白な柄、傘の縁に白い外皮膜が縁取りのように残るのも愛らしい。上品な香りと旨味、しっかりとした歯ごたえで、すっかり世間擦れしてしまったかのようなマツタケよりもこちらの方を選びたくなる。
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